HOME > お餅大解剖【お餅の歴史】 > 餅つきをしよう

お餅大解剖【餅つきをしよう】

かつては年の暮れになると日本中の家から餅つきをする風景が見られていました。
「ペッタンコペッタンコ…」餅をつく音が聞こえてくるとお正月なんだと実感できます。
現在では、幼稚園の餅つき体験、商店街や町内会のイベント、各種記念行事などの祝いごとなど、餅つきが行われています。
おいしいお餅はやっぱり搗きたてに限りますよね。
ここでは餅つきについてご紹介します。

 

日本の暮れの風物詩

餅つきは昔、日本の年の暮れの風物詩のひとつでした。
餅つきは、12月28日か12月30日に行うことが多いです。
29日は「苦持ち」といい、九が苦に通ずるから縁起が悪いとされています。逆に福(29[ふく])をもたらすといって、この日に餅つきをするお寺もあります。

31日は、「一夜もち」といって餅がしっかり固まらず二段重ねの鏡餅が沈んでしまい縁起が悪いとされています。

 

餅つきの道具

せいろう

蒸篭(せいろう)

餅つきの前日には、洗ったもち米をたっぷりの水につけて一晩おきます。
翌朝、ざるにあけて完全に水を切り、蒸篭に入れます。
昔は大家族だったので、10臼以上は搗いたといいます(約300合)。
蒸篭にはもち米がくっつかないように湿らせた麻の布を敷き、一臼分ずつのもち米を入れます。それを何段も重ねて大釜にのせて蒸し揚げます。金属製の蒸し器や中国鍋と蒸蘢(ちょんろう)でも蒸せます。

 

臼と杵

臼と杵

いよいよ餅つきです。
まずは臼、杵をお湯で十分に温めます。
蒸篭からもち米を入れて杵で搗きます。蒸したもち米がつぶれたら、搗いている人以外に餅を返す人(返し手という)と息を合わせて、搗いては餅を返し、むらなく、きめ細かく搗きあげます。餅を返す人はぬるま湯で手を湿しながら、餅を折り畳むようにします。

搗きたてのお餅は、大根おろしや納豆、きな粉にまぶしていただき、次いで鏡餅用、雑煮用と順番に搗いていきます。さつまいもやゆで小豆、さくらえび入りは最後の残り餅で作ります。
のし餅を作る場合は、うどんと同じようにめん棒を使い、打ち粉(でんぷん)をふったのし板やお盆などに取ります。のし餅は少し固くなってから包丁で切ります。
お餅のカビを防ぐために、もち箱やもち桶の底に練った和辛子を和紙で包んでしのばせたり、酒樽(さかだる)に入れてカビ止め効果を利用したりします。

 

参考文献 : 奥村彪生『おくむらあやお ふるさとの伝承料理11 わくわくお正月とおもち』農文協刊

奥村彪生

 

奥村彪生(あやお)

 

日本で唯一の伝承料理研究家。飛鳥万葉時代から江戸、明治、大正ならびに昭和の戦後まで、全国のお雑煮やまんが「サザエさん」などの様々な料理を文献記録に基づいて再現、展示会を開催。現在も若狭おばま食文化館で順次展示されている。世界の民族の伝統料理にも詳しい。2009年、めんの研究で学術博士(美作大学・大学院)

[略歴]

1937年和歌山生れ。近畿大学理工学部中退。2009年美作大学大学院卒業。神戸山手女子短大ならびに神戸山手大学教授、奈良女子大非常勤講師を歴任。現在、美作大学大学院客員教授、大阪市立大学大学院生活科学研究科非常勤講師。奥村彪生料理スタジオ「道楽亭」主宰。

[社会活動]

平成12年度和歌山県民文化賞受賞。NHK「きょうの料理」、「関西ラジオワイド 旬の味」、「日めくり万葉集」などに出演。

[著書など]

『日本めん食文化の一三〇〇年』(農文協)/絵本『おもしろふしぎ 日本の伝統食材』既刊10巻(農文協)/絵本『おくむらあやお ふるさとの伝承料理』全13巻(農文協) /『聞き書 ふるさとの家庭料理』全20巻解説(農文協)/『おくむらあやおの ごはん道楽!―古今東西 おいしいごはん料理―』(農文協)/『料理をおいしくする仕掛け―日本の食べごと文化とフードデザイン』(農文協) /『料理屋のコスモロジー』共著(ドメス出版)

10月10日はお餅の日 全餅工 国内産水稲もち米100%マーク